部屋を埋め尽くすゴミに囲まれて暮らしていた頃の私は、毎日がどん底でした。朝起きても足の踏み場がなく、カーテンも開けられない。そんな生活を五年も続けていたある日、ついに意を決して不用品回収業者に連絡をしました。電話で言われたのは、私の部屋の広さなら2トントラック一台で十分だということでした。当日の朝、家の前に現れた青い2トントラックを見たとき、私は少しだけホッとしました。あの大きなトラックなら、私のこの忌まわしい過去をすべて飲み込んでくれるような気がしたからです。作業が始まると、部屋の中にあった山のようなペットボトルや、いつ買ったのかも覚えていない衣類が、次々と袋に入れられてトラックへと運ばれていきました。ベランダからトラックの荷台を覗くと、あんなに部屋を狭くしていたゴミたちが、トラックの中では意外と小さく収まっていくのが見えました。プロの技術で整然と積み上げられていく私の不用品たちを見て、私は自分の心の整理もついていくような不思議な感覚を覚えました。昼過ぎには、全てのゴミがトラックに積み込まれ、最後の一袋が載せられたとき、作業員の方がトラックの扉を閉める音が街に響きました。ガチャンというその音は、私のゴミ屋敷生活の終焉を告げる号笛のようでした。空っぽになった部屋は、驚くほど広く、窓から差し込む太陽の光がこんなに眩しいものだとは思いもしませんでした。2トントラックが去った後、私は久しぶりに部屋の床を雑巾で拭きました。筋肉痛にはなりましたが、それはとても清々しい痛みでした。あの時、勇気を出して2トントラックを手配して本当に良かったと心から思っています。もし、あのままゴミに埋もれていたら、私は今でも暗い部屋で自分を責め続けていたでしょう。大きなトラック一台分のゴミを捨てることは、過去の自分を捨てることと同じでした。今は、必要なものだけを少しずつ買い揃え、清潔な部屋でコーヒーを飲む時間が何よりの幸せです。ゴミ屋敷という迷路から抜け出すための鍵は、案外、あの大きな2トントラックという形をしていたのかもしれません。