私は都内の一等地に建つタワーマンションの最上階近くに住んでいます。窓からは東京を一望でき、夜には宝石を散りばめたような夜景が広がります。しかし、その窓に近づくためには、膝の高さまで積み上がったコンビニ弁当の空き容器や、中身が半分残ったペットボトル、そして数えきれないほどのブランドショップの紙袋をかき分けていかなければなりません。私の部屋は、世間で言うところのゴミ屋敷です。外では一流企業の役員として部下を指揮し、隙のないスーツを纏って社交の場に立っていますが、一歩この部屋に入れば、そこは足の踏み場もないカオスが支配する空間です。始まりは、仕事のプロジェクトが立て込み、一週間ほどゴミを出しそびれたことでした。最初はほんの些細な乱れに過ぎませんでしたが、一度管理を放棄してしまうと、加速度的に部屋は荒れていきました。私には金があります。だから、必要なものが見つからなければ、すぐにスマートフォンで注文し、翌日には新しいものが届きます。それを開封し、梱包材をその場に捨て、また新しいものを買う。その繰り返しが、このゴミの山を形成しました。時折、清掃業者を呼ぼうと電話を手に取ることもありますが、そのたびに「このマンションに業者が入るのをコンシェルジュに見られたらどう思われるだろう」「私の正体を知られたら社会的に終わるのではないか」という恐怖が私を阻みます。エントランスですれ違う住人たちは、私を成功者として見ていますが、実際にはゴミの腐敗臭と闘いながら、わずかな隙間で眠る生活を送っています。この二重生活は、私の精神を確実に蝕んでいます。夜景を見る余裕などもうありません。ただ、このゴミの壁が自分を守ってくれているような、奇妙な安堵感を抱くことさえあります。しかし、心のどこかでは、誰かにこのドアを無理やりこじ開けてほしい、そしてすべてをさらけ出して救い出してほしいと願っている自分もいます。富や名声があっても、自分一人の生活を整えられないという事実は、耐え難い自己嫌悪を生みます。高級な家具がゴミの下で泣いているような気がして、私は今日もテレビの音量を上げ、現実から目を背けます。タワーマンションという閉ざされた城の中で、私は自分のプライドとゴミに埋もれながら、出口のない孤独を彷徨い続けています。