長年、孤独死の現場やゴミ屋敷の片付けに従事してきた私たちが、最も神経を尖らせるのが「空気の汚染」です。ゴミ屋敷の内部は、外部の人間が想像する以上に過酷な環境であり、そこには常に重症の肺炎を引き起こす病原菌が潜んでいます。作業を開始する際、私たちは必ず高性能な防護マスクと防護服を着用しますが、それは単に服が汚れるのを防ぐためではなく、肺を守るための必須装備なのです。ゴミの山を動かすたびに、数十年分とも思える埃やカビの胞子が雲のように舞い上がります。もしこれを素手や簡易的なマスクで吸い込んでしまえば、健康な成人男性であっても数日後には激しい肺炎を発症する恐れがあります。特に、ペットの多頭飼育が重なったゴミ屋敷では、糞尿に含まれるアンモニア臭や細菌が肺に甚大なダメージを与えます。私たちは、そこで暮らしていた住人の方が、どれほど苦しい呼吸を強いられていたのかを、部屋に残された咳止めの薬や吸入器の空き瓶から察することが多々あります。住環境の悪化は、徐々に、しかし確実に住人の免疫機能を破壊していきます。私たちは清掃のプロとして、単に物を捨てるだけでなく、オゾン脱臭機などを使用して空間全体の除菌を行いますが、それは肺炎のリスクを物理的に取り除く作業でもあります。ゴミ屋敷から救出された方の中には、新しい生活環境に移った途端、長年悩まされていた咳が止まり、健康を取り戻す方もいれば、すでに肺の損傷が進んでおり、酸素療法を手放せなくなった方もいます。ブログの読者からも「自分の親もゴミ屋敷で肺炎になり、入院した」というコメントが多く寄せられ、この問題が私一人だけのものではないことを痛感しました。ゴミ屋敷に住んでいると、次第に感覚が麻痺し、自分の健康が害されていることにすら気づけなくなります。しかし、肺は正直です。澱んだ空気、湿ったゴミ、舞い上がる埃。それらはすべて、一歩ずつ私たちを肺炎という奈落へ引きずり込んでいきます。ゴミ屋敷と肺炎は、切っても切れない因果関係にあるのです。もし、周囲にゴミを溜め込んでいる方がいれば、どうか早めに声をかけてあげてください。それは単なるお節介ではなく、その人の命を肺炎という病から救い出す、唯一のきっかけになるかもしれないからです。
清掃現場のプロが警告するゴミ屋敷に潜む肺炎の脅威