ゴミ屋敷の清掃現場において、私たちが最も技術を要するのが床掃除の工程です。不用品を撤去した後に現れる床は、単に汚れているだけでなく、様々な物質が複雑に絡み合って固着した「汚れの要塞」と化しています。私たちプロが現場に持ち込むのは、一般家庭にある掃除道具とは一線を画す強力な武器です。まず欠かせないのが、金属製のスクレーパーです。長年放置された食べ残しや、湿気で固まった紙類は、洗剤だけでは剥がれ落ちません。これを床材を傷つけない絶妙な角度で滑らせ、物理的に削ぎ落とすのが第一歩です。次に投入するのが、汚れを科学的に分解する業務用の高濃度アルカリ電解水や界面活性剤です。ゴミ屋敷の床掃除では、汚れに洗剤を浸透させる「つけ置き」の時間が非常に重要です。洗剤を散布し、反応を待つ間に汚れが浮き上がってくるのを待ちます。その後、ポリッシャーと呼ばれる回転式の洗浄機を使用し、ブラシの回転によって微細な凹凸に入り込んだ汚れを掻き出していきます。この際、汚水の回収も同時に行うことで、汚れが再び床に定着するのを防ぎます。特に注意を払うのが、フローリングの継ぎ目です。ここに溜まった汚れは悪臭の発生源となるため、細いブラシを使用して徹底的に洗浄します。また、ゴミ屋敷の床掃除では、見た目の綺麗さだけでなく「除菌と消臭」も重要なミッションです。目に見えない細菌やウイルスを除去するために、塩素系薬剤や安定化二酸化塩素を使用し、衛生レベルを病院並みにまで引き上げます。最後に、洗浄によって失われた床の保護膜を再生させるために、高品質なワックスを二度塗りして仕上げます。こうして磨き上げられた床は、まるで新築のような輝きを取り戻します。私たちが床掃除にこれほどまでにこだわるのは、床こそが住環境のベースだからです。足元が清潔であれば、人は自然と背筋が伸び、生活の質を向上させようという意欲が湧いてきます。ゴミ屋敷の床掃除は、単なる原状回復ではなく、住む人の新しい人生のスタートラインを引く作業であると自負しています。プロの技術と情熱を込めて磨き上げられた床には、過去を断ち切り、未来を照らす力があるのです。
プロの清掃業者が明かすゴミ屋敷の床掃除術と秘伝の道具