遺品整理の現場でゴミ屋敷と向き合うたびに、私たちは単なる物の山ではなく、故人の生前の「深層心理」を垣間見ることがあります。なぜ故人は物を溜め込み、部屋がゴミ屋敷と化してしまったのか。その背景には、孤独、喪失感、精神疾患、あるいは認知症といった、様々な複雑な心の状態が隠されていることが少なくありません。 例えば、多くのゴミ屋敷で共通して見られるのは、「物を捨てることへの強い抵抗」です。これは、過去の貧困経験から来る「もったいない」という気持ちや、将来への漠然とした不安から来る「いつか使うかもしれない」という思考が根底にある場合があります。特に高齢者に多く見られる傾向で、まだ使える物を捨てることへの罪悪感が強く、結果として物が溜まり続けてしまいます。遺品整理の現場では、同じ物が何個も出てくることも珍しくなく、これはその時々に必要な物を買い足しては、古い物を捨てられないという心理の表れとも言えます。 また、故人が孤独を感じていた場合、物が「心の隙間を埋める存在」になっていた可能性も考えられます。人との交流が希薄になる中で、物が唯一の話し相手や心の拠り所となり、手放すことへの強い不安を感じていたのかもしれません。大量の空き容器やコンビニの袋が積み重なっているのを見ると、故人が一人で食事をし、誰にも看取られることなく最期を迎えたことを示唆しているようで、深い悲しみを感じます。 さらに、精神疾患が背景にあるケースも少なくありません。うつ病によって片付ける気力が失われたり、強迫性障害の一種である溜め込み症によって物を捨てられなくなったりすることもあります。認知症が進行すると、ゴミとそうでないものの区別がつかなくなり、無意識のうちに物を溜め込んでしまうこともあります。遺品整理の現場では、故人の状態を推測できるような医療関係の書類や薬の痕跡が見つかることもあり、そのたびに、ゴミ屋敷は故人の心のSOSであったことを痛感します。 遺品整理は、故人の残した物を通して、その人の生きてきた証と向き合い、同時に故人の深層心理を理解しようと努める作業でもあります。ゴミ屋敷の背景にある心理を理解することで、遺族は故人への理解を深め、自身の心の整理をつけることにも繋がるでしょう。
遺品整理で見つかるゴミ屋敷の深層心理