ゴミ屋敷の清掃という極限の現場において、私たちはマスクを単なる防塵具ではなく、特殊な環境下での呼吸を維持するための「ライフライン」として捉えています。長年この業界に身を置いていると、マスクなしで数分間その空間に留まることが、いかに危険で無謀なことかが直感的に理解できるようになります。私たちが着用するマスクは、産業用の防塵マスクの中でもトップクラスの性能を誇るもので、微細な粒子を99パーセント以上カットするだけでなく、長時間の着用でも呼吸がしやすく、かつ顔に食い込むようなフィット感を維持できるよう設計されています。しかし、マスク単体では完璧ではありません。ゴミ屋敷の清掃を安全に進めるためには、マスクとセットで防護ゴーグルの着用が不可欠です。なぜなら、人の粘膜は喉や鼻だけでなく、目にも存在するからです。ゴミを動かした際に舞い上がるハウスダストやカビの胞子は、容易に目に付着し、結膜炎や激しい痒み、さらには感染症を引き起こします。また、ゴーグルを着用せずにマスクだけをしていると、無意識のうちに埃が目に入り、それを拭おうとして汚れた手で顔を触ってしまい、結果としてマスクの隙間を広げたり、病原体を口元に運んでしまったりすることがあります。マスクとゴーグルが一体となったフルフェイスタイプの防護具が、最も安全な選択肢とされるのはそのためです。私たちが現場に入る際、まずは空間の汚染度を評価しますが、どのような状況であってもマスクを外すことは許可されません。作業を終えた後、フィルターが真っ黒に汚れているのを見るたびに、これだけの有害物質を肺に入れる寸前で食い止めたのだという安堵感と、装備の重要性を再確認します。ゴミ屋敷の清掃は、まさに目に見えない敵との戦争です。最高水準のマスクという盾と、ゴーグルという鎧を身にまとい、自らの感覚を研ぎ澄ませることで、初めて私たちは安全に任務を遂行することができるのです。