私はエアコンの修理エンジニアとして十五年以上のキャリアがありますが、その中で数え切れないほどの「ゴミ屋敷」と呼ばれる現場に足を踏み入れてきました。初めてそのような現場に遭遇した時は正直に申し上げて衝撃を受けましたが、経験を積むにつれ、その部屋の主たちが抱える苦悩や事情が、積み上がった物の影に見えるようになってきました。ゴミ屋敷でのエアコン修理には、特有の技術と忍耐が必要です。まず、室内機に辿り着くための「道」がありません。膝の高さまで、時には腰の高さまで積み上がった不用品の上を、機材を担いでバランスを取りながら移動しなければなりません。また、室外機もベランダに放置されたゴミに埋もれていることが多く、まずはそれらを除去する作業から始まります。私たちが最も気を使うのは、お客様の自尊心です。多くのお客様は、申し訳なさそうに視線を伏せ、時には涙ぐみながら迎えてくださいます。その際、私たちは決して部屋の状態に言及せず、あくまで「エアコンを直すプロ」として淡々と、かつ誠実に作業を進めることを信条としています。「この汚れでは修理できません」と突き放すのは簡単ですが、それではお客様はこの猛暑の中で取り残されてしまいます。私たちは可能な限り、その場にある物を移動させ、新聞紙やシートを敷いて作業スペースを確保し、修理を完遂しようと努めます。ただし、どうしても物理的に手が届かない場合や、配線がゴミの下で劣化しており火災の危険がある場合は、清掃を先にお願いせざるを得ません。ゴミ屋敷での故障の原因として多いのは、埃によるフィルターの目詰まりや、室外機の放熱妨害、そして稀に小動物による配線の切断です。これらは過酷な環境が生み出した結果ですが、修理が終わってエアコンから冷たい風が吹き出した瞬間、お客様の表情がパッと明るくなるのを見るのは、この仕事の醍醐味でもあります。ゴミ屋敷でのエアコン修理は、単なるメンテナンスではなく、一人の人間の生活を地獄から救い出すレスキュー活動なのだと私は自負しています。
エアコン修理業者が直面したゴミ屋敷の現場とプロの仕事の流儀