賃貸物件においてゴミ屋敷化が進んでしまい、その状態で備え付けのエアコンが故障した場合、入居者は非常にデリケートな法的・契約的問題に直面します。原則として、エアコンなどの住宅設備が経年劣化で故障した際の修理費用は家主(オーナー)の負担となります。しかし、ここで大きな問題となるのが「善良な管理者の注意義務」、いわゆる善管注意義務です。ゴミ屋敷のように、通常の使用範囲を超えた劣悪な環境でエアコンを使用し、その結果として埃の詰まりや負荷の増大で故障を早めたと判断された場合、修理費用は入居者の全額負担となる可能性が極めて高いのです。さらに深刻なのは、修理のために家主や管理会社が指定する業者が入室しなければならないという点です。賃貸借契約には、設備の保守管理のための入室権が定められていることが多く、修理を拒否し続けることは契約違反となり、最悪の場合は強制退去の事由になり得ます。とはいえ、ゴミ屋敷を管理会社に見られることは何としても避けたいというのが本音でしょう。このような事態に陥った場合、最も賢明なのは、管理会社に連絡する前に、自費で専門のゴミ屋敷清掃業者を呼び、緊急で部屋をリセットすることです。修理業者が入室しても不自然ではないレベルまで片付けを行い、その上で故障の連絡を入れれば、スムーズに修理を受けられ、退去のリスクも回避できます。もし、隠し通せないほど状況が悪化しているなら、正直に管理会社に相談し、清掃と修理をセットで行う計画を提示することで、誠実な姿勢を見せるしかありません。放置すればエアコンの結露水が漏れ、下の階の住人にまで被害が及ぶ「水漏れ事故」に発展することもあり、その場合の損害賠償額は数百万円に達することもあります。エアコンの故障は、隠し続けてきたゴミ屋敷問題が公になる「終わりの始まり」でもあります。これを機に、法的なトラブルを最小限に抑えるための適切な行動を取ることが、あなたの将来を守ることに繋がります。
賃貸マンションのゴミ屋敷でエアコンが壊れた際の法的責任と対応